先づけ工法はコンクリートが打ち上がってからタイルを張るのではなく、コンクリートを打ちこむ仮枠にあらかじめタイルを張りつけておいて、仮枠をはがしとったときには表面のタイルが仕上がっている工法である。この先づけ工法の場合、タイルとタイルの接合部の目地にモルタルが十分に充填されないので、この部分からコンクリートの中性化か進行し、鉄筋のさびを促進したのである。改修工事にあたっては、浮きが生じているタイルをすべてはがしとり、内部の鉄筋に防錆処理をしたうえでタイルを張りなおし、中性化の原因となる二酸化炭素の透過率をおさえるポリマーセメント・モルタルで新たな目地処理をした。タイルの浮きは、内部鉄筋のさびにだけ起因するのではない。八五年頃から九〇年代はじめにかけて流行した、深目地仕上げという工法をとっている場合には、十分な注意がいる。図5・6は、なんの異常もないように見えていた深目地仕上げのタイルに、大規模な浮きが発見された例である。深目地の場合にはタイルの裏面に水がまわりやすく、ひいてはタイルの剥離につながる。大規模修繕工事の際に、本来なら深目地仕上げをやめて、全面的に目地埋めをするのが好ましい。なお、タイルにはいろいろの張り方があるので、張り方ごとの劣化特性を把握して十分な事前調査をおこない、劣化の症状におうじた修繕をほどこさなければならない。
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