彼のこれまでの紙の建築とは異なる点も見られる。その一つは、屋根がテントになっていることだ。仮設建築としてつくられたせいもあるのだろうが、このテント屋根の選択は、室内に光を柔らかく導入し、それが軽快な感覚の紙の列柱とあいまって、全体を象徴的で奥行きのある空間にすることに成功している。「紙のギャラリー」にはなかった空間の暖かなふくらみが、ここには見られるのである。これは「教会らしからぬ教会」である。決して悪い意味でいっているのではない。
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この建築における紙や光の柔らかさは、教会建築だけに限らず、もっと広く、現代の精神的な場所のありようとは何かという問いへの答えを提示しているように思うからである。このように考えるのも、私がこの教会を見だのが九五年一一月であって、このあたりがいまだ荒涼とした感のある震災の跡地だったことも関係しているのだろう。また坂の紙の建築がいつにもまして力強く見えたのは、これが多くのボランティアの力を借りた震災復興への社会的な提案であることにもかかわっているのかもしれない。あらゆる意味で厳しい状況のもとに建った作品だからこそ、現代ではますます見えにくくなった人間の精神性のありかを、この教会は鋭く指し示しているように思われる。