棟上は、家の屋台骨となる樹梁を組み上げる作業である。たった1日で、文字どおりその家の棟木まで一気に組み上げてしまう、家づくりのクライマックスだ。最後に柱のいちばん高いところに「幣」を立てるのだが、幣はその家が壊されるまでずっと屋根裏に残っている。ふだんは見えなくても、そこにいちばんたいせつな鳶柱があることを示している。棟上式が終われば酒盛りとなる。その場を仕切って、職人連中の労をねぎらい、酒を酌み交わすのは、当然、建て主一家の主である。
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それが今までの家づくりだった。ところが今は、その上棟式を行わないケースが増えている。プレハブや建売住宅ではもちろん、土地を買って家を建てるときでも、上棟式など必要ないと考える建て主も多い。「古いしきたりに興味はない」という夫婦もあるし、ただ「忙しくて時間がない」というご主人もいる。「宴会なんか面倒くさい」と訴える奥さんもいる。しかし、ほんとうにそれでいいのか。現場の職人たちと語り合うこともなく、たいせつな家づくりをまかせてしまっていいのだろうか。