実は私の建て主の中には、八十歳で家を建て、九十五歳で亡くなるまで、自分の家で毎日を楽しく過ごし、多くの人たちと交流し、お気に入りの寝室から外の景色を眺めながら亡くなられた方がいる。以後にお会いした時の、彼の言葉はこうだった。「頑張って家を建ててよかった。若い貴兄と同輩のような気分で、本当に若返って十年も二十年も得をしたような感じがしました……」最終的には入院することになったが、夜中に生命維持装置を自らの手ではずして、タクシーで自宅に帰り、そこで息を引き取ったという。
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男の家づくり、あるいは家への執着は、まさにこうでなければと、建築家として、この年になって改めて感動を覚えた。その家は現在、兵庫県西宮市で「オルゴール博物館」として一般公開されている。