不動産の取引には大きなリスクを伴う。企業でも、本業では成功しているのに、大きな不動産の取得に失敗して経営が破綻した事例は珍しくない。最後に、不動産取引で失敗しない根本的な二つのポイントを考えてみよう。第一に、「正確な情報収集」が欠かせない。不動産市場の実態を知ることも重要であるが、それ以上に、市場のトレンドをしっかりと把握することが大切だ。失敗するケースの多くは、目前の価格動向に気を取られ、全体の市場のトレンドを見ないから起こるのである。ただし、不動産市場という、狭い領域の動きだけで判断するのは危険である。本書でも指摘してきたように、社会現象、経済の動き、国民の意識の変化など、周辺の動きを知ることが長期的には重要である。たとえば、これから少子化が進むとなれば「赤ちゃん市場」は縮小するだろう。高齢者が増えるとなれば、それに適した市場が盛り上がっていくのは間違いない。第二に、「見切る」という決断もリスクの回避には必要となる。商取引では、「見切る」判断が時には必要であると、昔からいわれてきた。これから先は、一層、この言葉が重みを持つ。不動産は食料品とは違って、物理的には腐敗しない。だが商品としての価値は、腐敗していくのである。
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